子犬物語 5


お互いの犬は警戒しながらも、少しづつ近寄っていった・・・・



そして、次の瞬間・・・・


その犬はロックの耳に噛みついた!
「ガブリッ!」

「ちくしょう、ロックに噛みつきやがった。」
でも仕方がないか・・・雄犬同士だものなぁ。
友達にはなれなかったか。残念・・・
仕方なしに、もう一度その犬と会った場所まで連れて行き「じゃあね。バイバイ」
と言ったんだけど、なかなか帰ろうとしません。
30分経っても離れないので、仕方なく撒く事にしました。
フェンスを乗り越えて、帰りました。


ロックの怪我はそれ程ひどくなく、消毒して、すぐに治りました。



ある日仕事で旅行へ行くので、駅2つ分くらいの場所の知り合いの家へロックを預けました。
3泊4日の旅行だったんだけど、一泊目の夜「どうしてるかな?」と心配になり電話してみると
「おう、ちゃんと良い子にしてるよ」との事でした。
そして次の日、今度は、その知り合いの家から電話がありました。
そうしたら、なんとロックは逃げたと言うんです。

「本当かよ・・・、どこへ行ったんだろう・・・」

今すぐにでも帰って捜したい心境だったけど、仕事なので帰る事が出来ません。
残りの2泊3日は、心配で心配でどうしようもありませんでした・・・・
何度も何度も、預かって貰った家に電話しました。
3日間が、一週間に感じました。

そして帰る当日になり、
慌ててアパートに帰ってみると・・・



アパートの外階段の上に、夕日に照らされて、しっぽを切れんばかりに振っているロックが立って
いました。





そして、僕の姿を見ると、駆け足で階段を降りて来ました。
「ロック!」
帰って来てたのか・・・・

ロックは僕に飛びつき、顔中を舐めまわして喜んでいました。
僕は泣けました。

ロックは僕が出掛けた次の日、知り合いの家を飛び出して、住んでいるアパート
をトボトボと捜して歩いたんだろうな・・・
3日間も・・・、お腹すいたよね。

部屋に入り、水とごはんをあげました。




ロックは、小さい頃から病弱で、いつも風邪ばかりひいていました。
大久保に住んでいた頃も、立川に移ってからも、病気ばかりで、その頃まだ車を持
っていなかったので、よく抱きかかえて病院へ連れて行きました。
立川のアパートから病院までは歩いて1時間程の距離がありました。
ロックが貧血で倒れてしまい骨髄の手術をした時も、足の骨を折って大変な時もあ
りました。
いろんな事があって、いろんな日々がありました。




そして、運命の日がやって来たのです。




つづく・・・・

                   

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