子犬物語 7


階段を降り、玄関の扉を開いて外に出た。
庭にまわり、木戸を見た。



ロックがいない・・・・・



ロックが繋がれていた場所に目をやると、
綱が食いちぎられていた。

「あっ!」
と叫んで、パニックになった。
「どうしたんだ・・・」
何があったのか一瞬解らなくなった。


「そうだ・・・、ロックがいないんだ・・・、どこへ行ったんだ・・・」



「・・・・」



10分ほどして、ちょっと冷静になれた。




「そうだ・・・・、必死に逃げようとしたのだろう・・・」
知らない土地に来て、自分はどうなってしまうんだろうと思ったのだ
ろう・・・

それとも、無我夢中で飼主を捜そうとしたのか・・・



「ここに、こうして居る場合じゃない・・・・、捜さなくては・・・」







焦る気持ちと汗を振り払って、まず外に出た。

「まだ近所に居るかもしれない・・・」


いや、そう願っていた・・・・・




その日は夜遅くまで捜した。
走って汗まみれになり、焦って冷汗まみれにもなった・・・・
とにかく、ずっと焦っていた。


結局その日は見つからず、朝方になった。



そのまま寝ずに、また外に出掛けた・・・



近所の人に「犬を見なかったですか?」と訪ねても、返事は決まっ
て「いいえ」だった。
電信柱に張り紙もした。




3日後、ふと思った。
「そうだ、もしかしたら保健所に捕らえられているのかも知れない!」


保健所に行って聞いてみると、各所にある「動物管理所」の場所を教
えて貰った。
東京中で3ヶ所の動物管理所に行った・・・

そして動物管理所の中に入ると、子犬から成犬までがキャンキャン騒い
でいる。
(普通ならば、吠えるはずだ・・・・)
もう、吠えるだけの用心深さもなくなって、自分が生きるための最大限
の努力をしいる。
そう思った。



1ヶ月が過ぎ、結局ロックは見つからなかった・・・・




つづく・・・・・

                   

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