子犬物語 10


スプーンで口に持って行った。
匂いを嗅いでいる。
やはり食べない。


30分経った。
まだ食べない。
「なぜなんだろう・・・」



「そうか、警戒しているんだ・・・」

「かわいそうに・・・、まだ子犬なのに、人間不信になってしまったんだね・・・」



なぜ、この子犬はそんなにまで人間不信になってしまったんだろう・・・
いったい、何があったんだろう・・・
動物管理場に来るまでに、どんな辛い事があったのか・・・
それを知る事は出来ない。
でも、事実、動物管理場に来たという事は、紛れもなく「捨てられた」という事。
それは間違えないのない事だ。

ペットショップで売れ残った犬はどうなるんだろう・・・
この子もそうなのか・・・?
いや、それとも、里親が見つからず、無理やり母親から奪い取るように何処かに捨てられたのかも知れない。
その方が可能性は高いと思う。


とにかく、いきなり知らない場所の、知らない檻の中に入れさせられた事は事実なのだから、とっても辛かったと思う。
それに、きっと「もうすぐ自分は殺されるんだ・・・」と予感したに違いない。


この子にとって、僕が与えたご飯とミルクは、きっと毒入りに見えたのかも知れない・・・・


そうか!
注いだミルクを、この子の前で飲んで見せた。


次の瞬間、この子犬はミルク入れの容器に恐る恐る近づき、ペロペロと舐め始めた!


「やった!!」
「やっと、飲んでくれた・・・・」


よしっ!この勢いで、今度はご飯を食べてくれよ!



ミルクは、ペロペロと飲み続けている。
しかし、ご飯は一向に食べようとしない。



「よし、わかったよ。これが最後の手段だ!」
と思い、ある行動に出た。




つづく・・・・

                   

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