子犬物語 11


ミルクは、ペロペロと飲み続けている。
しかし、ご飯は一向に食べようとしない。

「よし、わかったよ。これが最後の手段だ!」
と思い、ある行動に出た。



ドッグフードを口に入れた!


「うう・・・、ドッグフードって、なんてまずいんだ・・・」
一瞬、嘔吐しそうになった・・・

実際、食べはしなかったけど、吐くことは出来ない。
ここで吐いたら、この子犬は僕を信じてくれないだろう。
もしかしたら、毒で吐いたと思うかも知れない。


早く吐き出したい・・・、でも、まだ子犬は食べようとしない。


たった10分が1時間くらいに感じた。


「もうダメだ・・・」
子犬に見つからないようにトイレに掛け込んで吐いた。



作戦は失敗した・・・・



口を何度も濯いだ。
口直しに、パンにバターをつけて食べた。

「そうか、このパンは食べるかな・・・」



子犬は、無我夢中で食べた。



やっと食べてくれたね。
結局、パン3枚を食べたけど、
でも、本当はドッグフードを食べてほしいんだけどな・・・
いつもパンばかりを与えたら栄養が偏ってしまうし、
犬にとって、味の良いものは健康に良くない。
明日、また挑戦するしかないか。


次の日の朝、ドッグフードをあげてみた。


やはり食べない・・・・



どうすれば良いのかと考え込んでしまった。



この子犬は、無邪気に走り回っている。
あっちに行ったり、こっちに行ったり、本当に良く動くなあと思いながら見ていた。
「そうだ、この子はコロコロ動き回るから、コロという名前にしよう。」


「コロ、おいで・・・」
と名前を呼んで手を差し伸べたら、いきなり噛まれた。

そういえば、コロは、動物管理所から貰って来た時から、よく人の手を噛む子犬だった。
これも、何か理由があるのだろうか。
それとも、単にこの子犬の性格なのかな・・・


僕の手は、キズだらけになってしまった。
消毒液を買いに出掛けた。
その帰り道で、ある事に気がついた。
「そうだ、この方法ならドッグフードを食べてくれるかも知れない・・・」
走って家に帰った。




つづく・・・・

                   

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