子犬物語 12


僕の手は、キズだらけになってしまった。
消毒液を買いに出掛けた。
その帰り道で、ある事に気がついた。
「そうだ、この方法ならドッグフードを食べてくれるかも知れない・・・」
走って家に帰った。




パンにドッグフードを少しだけ塗り、念の為に牛乳を漬して床に置いた。




・・・・・・・食べた。

「よし、この調子で、少しづつドッグフードの量を増やして行けば、きっと大丈夫だ・・・・」



次の日、ドッグフードの量を昨日よりも少し増やしてみた。

ちゃんと食べてくれた。

「よし!この調子だ!」



そして、一週間が過ぎた。

その頃には、もうドッグフードとパン割合は半分づつにまでなっていた。




コロは、とても元気だった。
ロックはいつも風邪ばかりひいて病弱だったのに、コロは病院とは無縁だと思えるくらい元気だった。

元気な事はとても良い事だけど・・・、ただ一つ気になっていた事があった。
「この噛みつき癖を治さなければ・・・・、少し厳しくしつけをしよう。」


ある日、コロと遊んでいた時、また噛みつき癖がでた。
もう、少しづつ大きくなっているので、噛む力も強くなって来た気がする。
「ピシャ!」
おしりを叩いた。

すると、次の瞬間、コロはおしっこを洩らした。

上目づかいで、こっちを見据え、恐怖におののいている感じだ・・・・

そんなに強く叩いたつもりはないが、きっと初めて叩かれたショックがあったのだろう。
僕は安易に考えていた。


しかし、その時から、コロは、ちょっと怒られただけで洩らすようになった。
椅子をかじった時、「こら!」と言っただけで洩らした


そして更に、抱きかかえただけで・・・、おしっこが顔に飛んできた。


コロは、生まれてから、なにか辛い事があったのだろうか・・・
いや、辛い事があったに決まっている。
まだ子犬なのに、動物管理所に居た事自体、それは普通な事ではない。
親犬が子供を産んで、その子供に里親が付かず、飼主が捨てたのか・・・?
それとも、ペットショップの売れ残りなのか。
身体は元気でも、心は確実に病んでいると思った。




どうにかして治してあげたい。




つづく・・・・・


                   


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