子犬物語 13


身体は元気でも、心は確実に病んでいると思った。
どうにかして治してあげたい。


その後、コロはすくすくと育ち、だいぶ大きくなりました。
風邪ひとつ引く事もなく、いつも元気でした。


「ロックとは本当に違うなあ・・・」


身体が元気という事は、飼う事にどれほど楽なものか、という事をつくづく感じた。
育ち盛りのコロは、放し飼いにしていた実家の庭を我がもののように駈けずり廻りました。
「コロ」と呼ぶと、土けむりを立てて、僕の顔目掛けて突進して来る元気がありました。



ある日、いつものようにコロを散歩させようと思って、散歩用の紐を首輪に掛けようとした時、事件が起きてしまいました。

とても寒い冬の日の事でした。
本当にいつものようにコロの首輪を捕まえて、慎重に散歩用の紐を掛けて、散歩に出掛けるつもりでした。
しかし、その日は違っていました。

首輪に紐を掛けようとした時、寒さで悴んでいた指がいう事をきかず、留め金がスルっと抜けてしまいました。
その瞬間、コロは力まかせに僕の手を振り払い逃げてしまった。


「コロ!コロ!」と呼んでも、見向きもしないで、全速力で行ってしまった・・・
コロが曲がったはずの路地を探したけど、そこにはもうコロの姿はなかった。


その日の夜中、近所を歩いて探した。
どこを探しても、コロは居なかった。
その時、一瞬、ロックの時と同じ事が頭の中を過ぎった。
「まさか・・・」


しかし、その心配はすぐに収まった。
朝になって、コロは戻って来てくれたのだ。
「良かった・・・」


肩の荷が降りた気分だった・・・・
帰って来たコロを見て、つくづく「良かった!」と叫びたかった。


そして、一日が過ぎ、2日目の朝、家のベルが鳴った。
「こんな朝早く、いったい誰だろうか・・・」


玄関を開けてみると、そこには夫婦らしき二人の人が立っていた。
「何かご用ですか?」と訪ねると、旦那らしき方がいきなり信じられない事を言った!





つづく・・・・・

                   

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