子犬物語 3


それでは、ロックの話をします。

ロックは友達から貰った犬でした。
僕もまだ二十歳で、新宿区にある大久保のアパートに住んでいました。
本当は犬や猫は飼ってはいけない契約なんだけど、大家さんには勿論
内緒でした。


でも、2日後にはバレました。


大家さんが下の階の部屋に集金に来ている時に、ロックが思いっきり
吠えたんです。
でも、大家さんはそのまま帰ったみたいで、とりあえずその場は逃れ
ました。
「良かった…」
そして、それから幾度か大家さんはアパートを訪れて、集金の為に部屋
の玄関に入ったのですが、大家さんは犬がいる事を知っていても文句を
言いませんでした。
その頃、東京12チャンネルに出演していて大家さんも観てくれていたみ
たいで、その事もあり、大家さんはよく芸能界の話を聞きたがったりして
いました。
もしかして、芸能人と思われていたのかも知れません。(笑)
それから1ヶ月後に猫を2匹貰って来ました。
名前は、ニャロ子とプー子です。

半年ほどして、ある日、下の階から大家さんとモメる声が聞こえて来ま
した。
「なにをモメているのかな・・・・」と耳をそば立ててみると。

大家  「猫を飼われては困りますよ!契約書に書いてあるでしょう!」
下の住人「だって、上の人だって犬を飼ってるのよ!なんで上は良くて
     こっちは飼ってはいけないのよ!」
大家  「いや・・・猫は壁を爪で傷つけるから駄目なんですよ。犬は
     いいんです。」
下の住人「そんな不公平な事ありますか!」

そんな会話が聞こえて来ました。

(僕の部屋でも猫を飼っている事は、下の住人も大家さんも気づいてい
なかったようです…)
でも契約書を見ると、「犬猫等の動物を飼う事を禁ず云々…」とちゃん
書いてありました。

それから数ヶ月が過ぎても下の住人は猫を飼い続けていました。
(当たり前だよね。捨てるなんて出来ないものね!)
でも、何度か大家さんとモメていたようです。


しかし、ついに大家は……


つづく

                   

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