子犬物語 15


その音がかなり大きくなって来た時、かすかに聞こえるもう一つの音がありました。
「犬の足音だ・・・」

と思った瞬間! 黒くて大きな犬がコロ目掛けて飛びかかって来た!!


「わっ!!」


一瞬のうちに取っ組み合いの喧嘩になった。
コロよりも一回り大きなこの犬は力も強いのだろうか・・・・
2匹の犬の唸りながらの喧嘩に、近所の犬達も反応して、夜中だというのに一気に騒がしくなった。
コロとその黒い犬は、お互い睨みながら凄みを利かせて唸っている。
眉間にしわを寄せて、凄い剣幕だ。

喧嘩が始まって、ほんの10数秒の間、一瞬、コロが怯んだその瞬間をついて、黒い犬は襲って来た!


「キャン!!!」


コロは耳を噛まれてしまった!

次に、足をやられた!!


「もうダメだ・・・、どうすればいいのだろう。」


慌てて、コロを抱き上げた。
僕の額は汗まみれだ。

コロの右前足から血がにじみ出した。

そして、また襲いかかって来た時、僕は思わずキックを浴びせた!



・・・と思ったが、履いていたサンダルがスルっと脱げて飛んで行ってしまった。
「ちくしょう!こんな時に、なんでサンダルを履いているんだ・・・」



なんとかしなければ・・・・


と思った瞬間、近くにあるゴミ置場に清掃用のホウキが置いてある事を思い出した。
「そうだ!たしかホウキが置いてあった気がする・・・・」

でも、そのゴミ置場までは20メートルの距離はある。
「しかし、本当にホウキはあるのだろうか・・・」

もう考えている暇はない。
思ったと同時に駆け出した。

片足が裸足なので、上手く足が運ばない・・・・

黒い犬は、駆け出した事に気づき、すぐに追って来た!

無我夢中で走った。


しかし、ゴミ置場に辿り着く直前で追いつかれてしまった。



そして・・・・

                   


inserted by FC2 system